壊れた光、雲の影

文藝春秋[単行本]

¥1300

文藝春秋
あらすじ

廃墟に魅せられたカメラマンは、不治の病を宣告され、撮影の旅に出る「壊れた光」。男は死を前にしてどんな光と影を見ようとするのか。「雲の影」の女が引きずり続けるの息子の死。そして、二つの中編が精緻な文体で反響しあう。

先生からのコメント

2007年、文藝春秋。 二つの中編を収める。いずれの「死」と「喪失」をテーマにしている。これはまあ、ずっとぼくの小説のテーマであるわけだけれど、最初のころは半分ほどは無意識だった。このころになると意識的にテーマを深めようとしている。死期の近いフォトグラファーの男を主人公とする「壊れた光」、息子を失った女を主人公とする「雲の影」。相聞のように互いに響き合う効果をねらっている。