満月の夜、モビイ・ディックが

小学館[文庫]

¥500

小学館
あらすじ

片山恭一が描く青春恋愛小説。地方の大学生・鯉沼の煩わし日常は、同級生・香澄との出会いで一変する。それまでとは異なる生と煌きに包まれた世界ーしかし、その後、彼女との距離感がうまくつかめない鯉沼は、バス釣りの名人で謎の若い絵描き・タケルの運転する自動車に乗って彼女と小旅行に出かけることにする。

先生からのコメント

2002年、小学館刊。小学館文庫。 『世界の中心で、愛をさけぶ』が売れはじめたころ(といっても、まだ一万分くらいのころ)、担当の編集者と、この路線でもう一作書こうという話になった。ぼくの方は青春三部作で、すべて書き尽くした気がしていたのだけれど、優柔不断な性格が災いして「わかりました、書きましょう」と言ってしまった。頭にあったのは、スコセッシやヴェンダースの初期の作品。ロード・ムーヴィー風の軽いフットワークで重たいテーマを書いたつもりだが……やっぱり無理があったかなあ。