雨の日のイルカたちは

文藝春秋[文春文庫]

¥530

文藝春秋
あらすじ

深い喪失感を抱えながら生きていく人たちを、祈りにも似た言葉で描く四篇の物語。 スーパーの店員から介護士に転身した青年。妻と赤ん坊をホテルに残し、浜辺を散策する男。中洲の風俗で働く十九歳の少女。突然死した最愛の夫に愛する女性がいたことを知った妻。そして水族館から逃げたイルカは、どこを泳いでいるのか…。

先生からのコメント

2004年、文藝春秋刊。文春文庫。 本が売れて、ぼくは一時的に流行作家になった。いろんなところから執筆の注文が来た。これまでそんなことはなかったので、ぼくはよろこんで引き受けた。ここには2003年に発表された中編が四つ収められている。みんなに注目されることがうれしく、そのせいか勢いのある作品集になっていると思う。でも、こういうスタイルは自分には向いてないとわかり、以後は依頼の多くをお断りし、書き下ろしを中心として今日に至る。